ソフロロジー式分娩は、1987年1月に初めて日本に取り入れられました。
陣痛を乗り越えることだけを考えるのではなく「母性の醸成と確立」ということに重点を置く出産方法です。
妊娠中から、出産や育児をイメージし精神を安定させリラックスした状態の中で出産を迎えます。そして出産の時にはすでに母性が確立しているということが特徴です。
つまり心の面では、「赤ちゃんを思うこと」身体の面では「緊張とリラックスのメリハリ」を覚えることです。その結果、陣痛という痛みが「お産のエネルギー」になり「疲れを知らないお産」ができ母性が育まれて、妊娠から出産・育児へとスムーズに移っていける、そういう分娩法です。
これからお産に臨まれるお母さんは、この分娩法を理解していただくための学びが必要となります。
ソフロロジーでは物事すべてをあるがままに前向き(ポジティブ)にとらえます。
その目的は、妊娠中から豊かな母性を育み、出産・育児へとつなげていくこと。
陣痛についても前向き思考です。陣痛は、赤ちゃんを産み出すための大事なエネルギー、そして出産は赤ちゃんとお母さんが行う初めての共同作業。人生の中で意義深い経験にするために、お母さんにだけに与えられたこの大事なエネルギーを最大限に生かしましょう。
痛みに抵抗したり押さえつけたりせず、あるがままに受け入れて乗り切ることで、お産の不安や恐怖心は消え、痛み自体も軽く感じられるようになるのです。
妊娠中から積極的にお腹の赤ちゃんを中心に考え暮らすことで、女性が本来持っている母性がより強く育まれ、本当の意味での「お母さん」になっていくのです。
これがソフロロジーのベース、『母性の確立』です。
ソフロロジー式分娩は、自然な流れの中で自分の力によって進める、自立出産です。
そのため、より深くリラックスすることが大事なポイント。ピンク色の元気な赤ちゃんが、自然にでてくる力を生かせるよう、お母さんは心と体でリラックスをはかります。
実際の出産でもっともリラックスに効果があるのが呼吸法、心強い味方です。
妊娠中から深くゆっくりした呼吸で、心と体がゆったりと落ち着く方法をマスターしておくとお産の時もリラックスして乗りきることができます。鼻から息を吸って、口から吐くのが腹式呼吸です。
出産するその日まで排便の機会ごとにゆっくりと息を吐きながら、いきみを加えてみましょう。
上手に便を出せたら出産の時に効果あり。
ソフロロジーでは、「あぐら」が基本のポーズ。妊娠中のトレーニングから出産まで幅広く用います。
妊婦にとって出産に大切な骨盤底筋を自然に鍛える効果もあげられます。
リラックスして上半身を立てる姿勢は、赤ちゃんが早く下りてきやすく子宮の開きを進めます。
自己暗示によるイメージトレーニングはソフロロジー出産の大きな特徴。
トレーニング用のCDを聴きながら、眠りに入るような体も心も、十分にリラックスした状態で行います。
CDの言葉に誘導されながら、妊娠中、出産、産後など、もうすぐ自分に起こることを思い描きます。妊娠によって起こる、体調・体型の変化、陣痛などを肯定的にイメージしていくのです。
そうすることで、妊娠中の不安や恐怖をやわらげ、取り除き、また疲労をとり、出産へのエネルギーを高めます。寝る前の子守代わりや、家事のBGMにしても構いません。
無意識のうちに大脳皮質に記憶されるので、実際のお産にリラックスして取り組むことができます。